クラウドサービスを利用する際に欠かせない用語「リージョン」と「アベイラビリティゾーン」。
これらの仕組みを理解すると、クラウドサービスの強みや障害対策についてより深く学べます。
この記事では、リージョンとアベイラビリティゾーンの基本を解説した後、障害に備えるための方法についても触れていきます。
目次
リージョンとは?
**リージョン(Region)**は、クラウドサービスが物理的に提供されている「地域」を指します。
- 具体例:
AWSでは、「東京リージョン(ap-northeast-1)」「大阪リージョン(ap-northeast-3)」「シンガポールリージョン(ap-southeast-1)」などがリージョンに該当します。
リージョンの特徴
- 地理的に分散
各リージョンは世界中の異なる場所に配置されており、地震や停電などの災害リスクを分散しています。 - 独立性
各リージョンは基本的に独立して運用されており、他のリージョンの障害に直接影響を受けません。 - データ配置を選択可能
データをどのリージョンに保存するかを選ぶことで、法的要件(例:個人情報保護)や遅延対策に対応できます。
アベイラビリティゾーン(AZ)とは?
**アベイラビリティゾーン(Availability Zone, AZ)**は、1つのリージョン内にある複数のデータセンターの集合です。
- 具体例:
東京リージョン(ap-northeast-1)には、ap-northeast-1a
、ap-northeast-1b
、ap-northeast-1c
といった複数のアベイラビリティゾーンが存在します。
アベイラビリティゾーンの特徴
- 物理的に分離
各ゾーンは異なる場所に設置されており、災害や停電などで1つのゾーンが停止しても他のゾーンは影響を受けにくい設計になっています。 - 高速な接続
同じリージョン内のゾーン同士は、超高速で接続されており、データのやり取りが低遅延で行えます。 - 障害対策
サービスを複数のゾーンに分散させることで、高い可用性(Availability)を確保できます。
リージョンとAZの関係を簡単にまとめると…
- リージョン=地理的なエリア(例:東京や大阪)
- AZ=そのエリア内にある複数のデータセンター(ゾーン)
リージョンが壊れるとAZは使えなくなる?
答え:リージョン全体が壊れると、そのリージョン内のAZも使えなくなります。
リージョンは、AZを含む「大きな枠組み」なので、リージョン単位で障害が発生すると、そのリージョン内のすべてのAZに影響が出る可能性があります。
リージョン障害に備える方法
クラウドサービスの本当の強みは、障害に備えて設計を工夫できる点です。
リージョン障害に備えるには、次の方法があります。
1. マルチリージョン構成
複数のリージョンを利用してリスクを分散する方法です。
- 例:
東京リージョン(ap-northeast-1)と大阪リージョン(ap-northeast-3)に同じサービスやデータを配置。 - メリット:
片方のリージョンが停止しても、もう片方でサービスを続行できます。 - 利用シーン:
重要なWebサービスや大規模なシステム。
2. グローバルサービスの活用
AWSには、リージョンに依存しないグローバルサービスもあります。
- 例:
- Amazon Route 53:DNSの管理を行うサービス。
- Amazon CloudFront:コンテンツ配信ネットワーク(CDN)。
これらを利用すると、複数リージョンにまたがる構成が容易になります。
3. 災害復旧(DR:Disaster Recovery)の計画
- バックアップ:重要なデータを他のリージョンにも保存。
- フェイルオーバー:障害発生時に別のリージョンへ切り替える仕組みを構築。
まとめ:リージョンとAZを理解してクラウドを最大活用しよう!
- リージョン=地理的なエリア(東京、大阪など)
- AZ(アベイラビリティゾーン)=そのエリア内の複数のデータセンター。1つのゾーンが壊れても他のゾーンで対応可能。
ただし、リージョンが全体的に障害を受ける場合、AZも使えなくなる可能性があるため、複数のリージョンを利用することが大切です。
クラウドサービスを最大限活用するには、障害に備えた設計が重要です。これを機に、リージョンやAZの仕組みを活用して、高い可用性を確保したシステムを構築してみましょう!
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